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JAHD Networkについて

ご挨拶

日本動物遺伝病ネットワーク:JAHD Networkは、獣医師によって設立された動物の遺伝性疾患の診断、データベース構築を柱に、遺伝性疾患に関する科学的な研究、情報提供などを行っていく団体です。

遺伝性疾患に関しましては、いろいろな考え方、取り組み方があるとは思いますが、JAHD Networkと致しましては、動物を愛育し健全な繁殖を目指している皆さまが、遺伝性疾患について考慮する際の手助けとなる有用な情報をご提供できるよう活動していく所存です。
その結果、人と動物とのより良い関係が築き上げられて行くものと確信しております。

今後、飼い主の皆さまに、JAHD Networkの趣旨をよくご理解頂いた上で、検査・診断・登録を行って頂きたくお願い申し上げます。また、将来増大すると思われますデータを円滑に閲覧できるシステムに取り組んでおります。ある程度の統計的に有意義な登録数になった時点で血統間の結合をしていく予定ですが、それには数ヶ月を要することをご理解頂けますようよろしくお願い致します。

これからも、JAHD Networkの活動にご協力ご支援頂ければ幸いです。
よろしくお願い申し上げます。

活動趣旨

人と動物(特に犬、猫)とがより親密な関係になるなか、近年、獣医臨床の現場において股関節形成不全をはじめとした遺伝性疾患を抱える症例が増えています。

これは急激な飼育頭数の増加とそれに伴った無秩序な繁殖が大きな要因であると考えられますが、この問題に対する取り組みは、欧米諸国では40年以上も昔から始まっており、遺伝性疾患のデータベースが作成され、その繁殖方法を系統的、組織的に調査研究する公的機関が設立されています。それにより、欧米諸国では動物の遺伝性疾患の減少に成果を出しています。

しかしながら日本においては、そのような公的機関は全くないのが現状であり、実際にどのくらいの割合でどういった遺伝性疾患がおこっているのか、またそれはどういった血統に起こっているのかなどの詳しい情報を得ることはできませんでした。

われわれは、遺伝性疾患のなかでも最も一般的な股関節形成不全に関して、その日本での発生状況を知るために、国内で家庭犬として飼育されているラブラドール・レトリバーについての調査を2000年から2001年にかけて行ないました。このラブラドール・レトリバーという犬種は、股関節形成不全の好発犬種とされていますが、この犬種は家庭犬として人気があることのみならず、性格的な特徴から身体障害者補助犬(特に盲導犬)としても重要な役目を担っている犬種です。調査結果では、調査した犬の、実に46.7%にこの疾患の発生が認められました。これは、米国での11.7%に比較して4倍近く高い発生率でした。現在、この犬種の年間の国内飼育登録数は26,672頭であり、この調査結果で換算すると年間12,109頭も罹患していることとなります。そのため、身体障害者補助犬にとっても国内で繁殖された犬を用いることが大変困難な状況であると考えられました。また、この疾患に限らず、人の手によって減らすことが可能であると考えられる遺伝性疾患に苦しんでいる動物、その罹患動物を家族の一員として、また人生のパートナーとして大切に育て暮らしている方が膨大な数で存在するものと推測されます。

人の福祉に貢献する動物の遺伝性疾患の問題を改善させ、人と動物とのより健全な社会を築くために、また、身体障害者補助犬を発展させるためにも、予防により新たな遺伝性疾患の発生を減少させることが不可欠です。

以上のことから、われわれは、公平な立場で責任のある診断、調査研究、情報提供、予防活動の普及啓発事業を行なう団体を設立するに至りました。これらの活動を実行するためには多数の方の協力を必要とし、又運営に対しかなりの必要経費が見込まれることや、活動内容を広く社会に普及し、より認知していただくために、特定非営利活動法人として不特定かつ多数の方の利益の増進に寄与し、広く社会に貢献しようとする団体です。

リーフレット

日本動物遺伝病ネットワーク<JAHD Network>

NPO 法人(特定非営利活動法人)
日本動物遺伝病ネットワーク
Japan Animal Hereditary Disease Network

我々(日本動物遺伝病ネットワークJAHD Network 、以下JAHD Network )は、身体障害者補助犬および家庭愛玩動物を含めた人の福祉に貢献する動物に多発している遺伝病の診断、情報収集、情報提供すること、又 これらを広く社会に普及するための教育活動を行うことによって、人と動物とがより健全な関係を築くことを目指し、福祉や社会教育の推進及び、不特定かつ多数の者の利益を寄与することを目的とする団体です。

遺伝性整形外科疾患(股関節形成不全・肘関節形成不全・膝蓋骨脱臼)
診断・登録事業開始予定

犬にも遺伝性疾患があることをご存知ですか?

現在、犬を家族の一員として暮らしている家庭は、ますます増加し、ペットからコンパニオンドックと呼ばれるようになり、より身近な存在となっています。また近年では、盲導犬をはじめとした身体障害者補助犬、警察犬、災難救助犬など特殊技能を身につけた犬たちが社会で活躍し、人の生活に不可欠な存在になっています。そんな中、遺伝性疾患に苦しむ犬たちが増えているのも事実です。その遺伝性疾患の代表的なものが、犬の股関節形成不全と呼ばれる疾患です。この疾患は、歩いたり走ったりすることもままならない深刻な状況を引き起こします。
股関節形成不全に罹った犬の70 %が遺伝的要因であるといわれ、疾患犬同士を交配させると、ほとんどの仔に発生してしまいます。残り30 %が環境的要因(肥満、運動過負荷)であるといわれています。
欧米諸国では、既に40 年以上も前から股関節形成不全や肘関節形成不全をはじめとした遺伝性疾患を減らすための取り組みが行われており(その代表的なものがOFA 、BVA/KC など)、その結果遺伝性疾患は減少傾向にあります。一方、日本では今までそのような公的機関が一切存在しないため、本来繁殖に最も必要な情報を得ることは出来きませんでした。そのため、遺伝疾患に苦しむ日本国内の犬の状況を把握することすら困難な状況にあります。
私たちは2001年に日本の現状を知るために、多くの獣医師と愛犬の方々のご協力を得て、ラブラドール・レトリバーの股関節形成不全の罹患率(疾患に罹ってる割合)の調査を家庭犬を対象に行ないました。その結果、実に46.7 %に股関節形成不全が認められたのです。

日本における股関節形成不全の割合

この割合は欧米諸国で報告されている割合と比較すると、驚くほど高い割合です。

欧米諸国との罹患率の比較

遺伝疾患の犬を減らすには登録システムの確立が急務

遺伝性疾患とは、その名のとおり先祖から子孫へ遺伝する疾患です。遺伝の形式は様々ですが、原因となる遺伝子が解読されている疾患はほとんどないため、遺伝性疾患を減らすには疾患の発症のない犬同士、あるいは疾患の発症していない家系(ライン)を選び交配させていくことがもっとも重要です。その取り組みを行ったスウェーデンでは、股関節形成不全の有病率は13 年間で46 %から23 %(半数に減少)に低下させることが出来たという実績があります。
通常の血統書は両親と祖父母を表した血統図で、純血種の確認に有効なものですが、
遺伝性疾患を把握するには、両親、祖父母の情報はもちろんのこと、兄弟、姉妹や近親系の情報が大変重要になります。

なぜ遺伝性疾患を検査・登録する必要があるのか?・・・

遺伝性疾患を検査・登録する目的は2つあります。
まず第1 の目的は、愛犬の関節の状態を把握することです。というのは、JAHD Network の調査結果では、愛犬に股関節形成不全による関節炎があっても、そのことに気が付いている飼い主は約50 %です。重度の痛みが出てからでは、関節炎の治療は遅すぎます。検査を行なって、もし関節炎があったならば、その個体に適した運動や体重を管理するだけで、関節炎の進行を抑えられる場合が多いのです。第2 の目的は、その犬種の将来のために、遺伝性疾患を減少させることが可能になります。純血種の繁殖はほとんどの場合人が関与し、犬種特性とも言える気質、容姿ともに素晴らしい犬達がたくさん生まれます。その反面、今の日本の現状では、遺伝性疾患を持った犬たちもかなりの割合で生まれています。この遺伝性疾患を減らすには、多くの飼主のご理解ご協力による検査・登録が不可欠なのです。皆さまのご協力によって確実に遺伝性疾患を減らせます。今後、皆さまが迎える犬はもちろん、すべての犬たちの遺伝性疾患を回避出来きるようになると思います。
遺伝性疾患を減らすために、みんなが出来ること
遺伝性疾患を減らしていくには、一つ一つの疾患に対し、多くの犬を検査し、また結果を公開登録し、その情報を使って遺伝性疾患の発生のない、あるいは少ない血統のラインを選んで交配させていかなくてはいけません。犬が股関節形成不全の検査を行なえる時期(通常は生後1 歳以降)に、飼い主の皆さまにこのことをご理解頂き、この検査と登録を行なっていたければ幸いです。
これ以上遺伝性疾患に苦しむ犬を増やさないために、ぜひご協力ください。

日本動物遺伝病ネットワーク(JAHD Network )では、遺伝性疾患の診断と登録事業を主に行います。登録事業に関しては、現在、(財)日本盲導犬協会と共同で遺伝性疾患の血統管理に関するコンピューターシステムの開発を行なっています。このシステムが始動し、多くの方々の協力のもとに登録数が増えていけば、登録された情報はコンピューター内で次々に結合して行き、知りたい個体の先祖、子孫、兄弟、姉妹などの近親犬のものの遺伝性疾患についての情報が瞬時に得られるようになります。それは繁殖の際に遺伝性疾患を減らす大きな力となります。なお、登録・公開していく犬のデータには個体識別等も記入する予定です。
遺伝性疾患を減少させるには、少なくとも5 〜10 年はかかると言われていますが、生まれてくる犬の遺伝性疾患を減らし、人と犬とがより健全に暮らすためには、この計画に取り組まなくてはいけません。皆さま、ご協力ご支援をよろしくお願い致します。

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